湧亀記

2ストライク(1ファール)法務博士(専門職)のただの日記

第40回ビジネス実務法務検定試験2級復習 その2

第1 はじめに

 師走である。さすがに走りながら投稿はできない。

 第40回ビジネス実務法務検定試験2級の復習である。

第2 前回の積み残し(第1問1ー1の続き)

1「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けた者をいう(消費者契約法2条4項)。適格消費者団体は、事業者等が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる(12条1項)。そして、消費者契約法4条1項1号は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げることを規定している。なお、「重要事項」とは、消費者契約に係る物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう(同条4項1号)。

2  景品表示法の課徴金制度は平成28年改正で設立。もっとも、同法5条の優良誤認表示、有利誤認表示が対象である。すなわち、事業者が、第五条の規定に違反する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない(景品表示法8条柱書前段)。

 したがって、景品類の提供の規制である4条違反は、現行法上、課徴金の対象ではない。もっとも、措置命令の対象であり(7条)、措置命令違反には罰則規定がある(36条1項)。課徴金と混同してはいけない。

 条文から明らかに誤りの選択肢であり、難問ではない。しかし、条文、制度の理解が不十分であると、いかにもありそうな選択肢に引っかかるものであるので、注意したい(実際、私が試験場で悩んだのはここだけの内緒である。)。

第3 第1問1-2

1 保証契約は書面でしなければその効力を生じない(民法446条2項)。保証契約が内容を記録した電磁的記録でなされたときは、書面によってなされたものとして、前項の規定を適用する(同条3項)。保証人の意思を書面に明確化することで、保証人の判断の慎重性を担保し、また、後日の紛争を予防し、保証人の保護を図るといった趣旨の規定である。余談だが、平成25年司法試験論文式試験、民事系第1問の論点にもなった規定である。無権代理人による保証契約締結に対して後日、本人が追認を与えた場合に、同項の書面性の要件を充たすかが問題になった。

2 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、あらかじめ求償権を行使することができる(民法460条柱書)。事前求償権では、保証人による債権者への弁済に先んじて、主たる債務者に履行を請求するから、主たる債務者の保護から広く認めるわけにはいかない。頼んでもない保証人が勝手にやってきて、そいつが債権者に弁済してくれてもないのに、求償に応じなければならないとするのは酷であろう。

3 数人の保証人がいる場合、それらの保証人が格別の行為により債務を負担しても427条が適用される(456条)。すなわち、それぞれ等しい割合で債務を負う(427条)。これを「分別の利益」という。具体的には、300万円の主たる債務を3人の保証人が保証すれば、各々100万円の保証債務を負うことになる。

 しかし、連帯保証においては、「分別の利益」がないとされる。上記の例では、3人の連帯保証人はそれぞれ300万円の連帯保証債務を負う。連帯保証においては、「催告の抗弁権(452条)」「検索の抗弁権(453条)」「分別の利益」がないことは3セットで抑えておきたい(454条)。

4 貸金等根保証契約についてである。少し細かい知識であろう。

 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う(465条の2)。保証範囲まで正確に把握していないと正解にたどり着けないが、極度額まで担保する点で根抵当権とパラレルに記憶しても良いだろう(個人的見解)。抵当権の範囲に法定の限界があることにも思いを馳せておきたい。

5 民法465条の4は、次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定するとしている。
一  債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
二  主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三  主たる債務者又は保証人が死亡したとき。

 当事者の信用に関わる強制執行や破産手続、死亡といった事由によって、元本を確定させてしまおうということである。当事者の死亡は終了原因になりやすい事由であるが、例外もある場合があるので注意が必要である。

第4 ようやく1/20が終わった。終わるのだろうか、これは。

以上