湧亀記

2ストライク(1ファール)法務博士(専門職)のただの日記

第40回ビジネス実務法務検定試験2級雑感(法科大学院修了生編)

すっかりご無沙汰になってしまった。

ひいこらひいこらと司法試験の過去問を起案していたり、していなかったりしていたら、冷やかしに出願していたビジネス実務法務検定2級試験が間近にせまってしまったためである。

存在自体はなんとなく聞いたことがあった程度の認識。

それなりの法科大学院をそれなりの成績で修了して、司法試験をそれなりの成績で落ち続ける法律知識でどこまでやれるか受けてみたわけだ。

 

ビジネス実務法務検定試験については、各自ググってみてほしい。

最上位の1級は、企業内から弁護士との折衝をスムーズに行える程度の法律知識があるとか。与えられる称号は、ビジネス法務エグゼクティブ(商工会議所認定)。

落ちこぼれてはいるが、仮にも司法試験に合格して法曹になろうとしているとすれば、ここは落とせない所である。

でも、いきなり1級は受験できないので、2級から。称号は、ビジネス法務エキスパート(商工会議所認定)。合格率は40%弱。

2級は、2時間40問の五肢択一、100点満点で70点以上合格の絶対的評価。

 

んで、受けてみたトコロ、

自己採点的には、受かりました。

やった。

 

もっとも(自己採点的には)受かったものの、想定外に苦戦しました。

 

以下、今後の受験者のために所感を述べる。

法科大学院生、修了生あたりが射程かも)

 

第1、受験者、亀ヶ浜のデータ

・前提として、司法試験の民事系(主に民法)の短答試験で常に7割を超える程度(司法試験短答式試験合格者の平均レベル程度かと)。

・司法試験の選択科目は租税法(試験範囲外)

独占禁止法は大学で単位を取った程度、民事執行法法科大学院で単位を取った程度

・知的財産法、労働法、国際私法、倒産処理法はほぼ勉強したことがない。

・勉強に使用したのは、普段から愛用の有斐閣判例六法、及び、夏ぐらいに買って放置していた近所のTSUTAYAにあった適当な自称精選問題集(解説付き160問+直近の過去問2回分)と、それと同じ出版社による非公式テキスト(公式テキストの存在は買ってから知った)

・試験対策時間は、およそ1週間前から移動中の電車内、前日に4時間程度。すなわち約15時間程度。

・試験までにできたのは、240問を1周して解説を読み、非公式テキストに1回目を通した程度

第2、受験雑感

 この試験で問われることは、ほぼ条文知識。具体的事実が問われても典型例にすぎない。

 出題は、会社法民法を中心に、広く浅くという印象である。民法分野からの出題は、司法試験では落としたら致命傷になりかねないレベルの基本知識のように思える(担保物権からの出題が多く、やや細かいが)。会社法は、条文も多い法律であるし、比較的細かい条文が問われることも(恥ずかしながら結構点数を落とした、猛省。)。仮登記担保法、商行為法、製造物責任法特定商取引法、知的財産法、破産法、民事再生法会社更生法あたりもそれなりに出てくるので侮れない。意外と、労働法からの出題は少ない。刑法は、特別刑法と合わせて1題出るかどうかといったところか。

 試験時間は2時間と余裕がある。本番では2周した。

第3、対策にあたっての総括

 個人的に試験対策が甘かったと感じる。

 民法分野の出題は司法試験受験者ならば、得点源であり、満点を狙える内容である。といっても、担保物権は根抵当や仮登記担保といったやや細かい制度も聞かれるので、油断はできない。もっとも、問われるのは条文知識だが。

 知的財産法、倒産処理法といった、まともに勉強したことがない分野は案外広く、プレッシャーはあった。しかし、やはり条文知識であり、出るポイントは固まっているので過去問で反復して定着すれば点は伸びたと思える。

 問題は会社法である。司法試験での短答試験廃止もあり、法科大学院を出ているからといっても、条文知識を正確に固めないと点が抑えられない印象である。うろ覚えゆえに、選択肢を2つまで絞って正解に至らなかった問題がそれなりにあった。猛省したい。

 やはり、1週間前から問題集を1周しただけでは厳しかった。仮に、私に民法の前提知識がなかったならば、不合格を食らってもおかしくはなかった。もし、法学未修者が受験しようとするならば、それなりに時間をかけて、体系的に条文知識を固めて受験するべき試験である。 しかし、法科大学院教育を受けたという優位性も、司法試験での選択科目によっては、民法でのアドバンテージがある程度である。

 もっとも、法学において要求される、条文解釈、具体的要件に対する法規範定立、具体的事実の評価、法規範への包摂といった能力を高い次元では求められていない試験であるし、絶対的評価であるから、そこまでの難関ではない試験である。

 

 なんだかんだいって、自分の選択科目でない科目を一かじり程度し、視野を広げることができたことはいい勉強の機会になった試験であった。

                                     以上