法務博士と非正規長時間労働
日本の法制史に関わり、今も多くの法曹を送り出すという母校から、法務博士などという学位を頂戴したわけである。
これは、私にとって貴重な20代のうち数年間の時間を司法試験予備校的学術機関に捧げた代償であって、一種のアイデンティティである。
しかし、悲しいかな、法曹資格の取得を失敗し続けるいまの私にとっては全く意味をなさないものである。
終身名誉監督とかハイパーメディアクリエイターとかシニアディレクターとかそういう肩書きに類するような気がしてならない。
日本国憲法で廃止された貴族制度のように肩書きで金はもらえないわけで、法曹として、一線で活躍し始めた学友を尻目に、試験対策の合間に単発の労働で雀の涙を稼ぐ生活である。
けっきょく、5時に起きれた。
仕事内容は、イベントAD。
イベント運営は、部門毎ないし全体を、D、すなわち、ディレクターが監督する。
ADはその補助。
大きな現場では数人のDに10人くらいのADが付き、数十人のST(スタッフ)を管理し、運営を実施する。小さな現場ではDにSTが1人ないし数人の場合もある。
しがないアルバイトである私が任されるのは、よくて、ADか小さな現場のDである。
猿でもできるような単純作業しか任せてもらえない、STの現場を何度か経験して、ようやく、ぼつぼつD、ADのオファーがくるようになった。
けっきょく、直属の上司に振り回されることは変わらないのだが、そんな自分がSTを振り回すこともあり、胸が痛むことも多い。
咄嗟の機転、気配りができるか、正確な情報の処理、咄嗟の伝達能力、咄嗟の説得力といった事項が試されるわけで、ペーパーテストとは違う能力が必要である。もっとも、司法試験にも共通するような点もあるような気がしなくもない。咄嗟の機転で書いた論証で爆死することも多いものであるが。
そんな人間力のガチンコ勝負みたいな現場運営ではあるが、自分の力ではいかんともしがたいものも多々あるわけだ。
そのたびに無力感、敗北感を感じはするが、挫けてはならない。
負けるな私、頑張れ私。
たとえ、事前に聞いていた拘束時間が大幅に違ってもだ。
上層部のあきらかな事前の準備不足、人手不足で終了時間が伸びてもだ。
そもそも、目的達成しないと帰れないのだから、それは仕方がないことなのだ。
【事前情報の拘束時間】15時~19時、8時~18時、8時~18時
【現状の拘束時間】15時~22時、7時30分~22時30分、8時~???
きっつー