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湧亀記

2ストライク(1ファール)法務博士(専門職)のただの日記

資本主義とぐるぐる寿司

風邪はだいぶ良くなった。抗生物質、万歳!

たいていきな臭さそうなものは様子を見て炎上させる人生を送ってきた。

別れを決意してそうな彼女の様子とか、押し目買いしたはずの株式が暴落する様子とか、司法試験とか司法試験と司法試験とか…。

学力のない人間が、珍しく学習能力働かせてひきはじめに医者にかかったのが正解だった。いつも死にかけてから行くからね。医学の発展に、万歳!

 

おかげで湘南地方某市の祖父母の足になることができた。東名高速、万歳!

下道なら横浜からだと2時間弱だけど、1時間弱でつくからね。圏央道、万歳!

 

祖父母がいずれ入居するという空っぽのお墓の掃除とかね。

前回行ったときは「わたしはそこにいません~♫」とか陽気に歌ってた祖父。

神風特攻精神の教育を受けた世代だから仕方ないね。一億火の玉、万歳!

定期的にお寺に納めるお金に文句を言ってたけど、仕方がないよね。

資本主義、万歳!

 

帰りに回転寿司(スシローに行きかけたけど、くら寿司)で昼食。食べる寿司を物色。

回転寿司、最近は機会に恵まれなかったが、ガキの頃はよく連れて行ってもらったっけ。

そんな祖父母たちは、時代に連れて行ってはもらえなかった。

「おいゼニタロウ、醤油入れる皿、ねぇぞ」「じーちゃん、そんなもんはもうないんだ。コスト削減てやつだ」「そうか」

「ゼニちゃん、全然回ってこないわね」「ばーちゃん、液晶パネルで注文するんだ」「そうなの」

「しかし、ぐるぐる寿司は変わったもんだな」「そうだね」

「あっちのくら寿司も変わらないんだろうな」「こっちがくら寿司だよ」

「思っていたより安かったわ」

食え食えと私に寿司を促す祖父の食べる量は、以前に比べだいぶ減ってしまった。

資本主義がぐるぐる寿司に強いたコスト削減は、格安の寿司と、老人たちが時代に置き去りにされた姿、そして、衰えていく祖父という現実を私に見せつけた。

 

営利企業が発行する日刊新聞の訃報欄に知った先生の名前があった。最高裁の裁判官をなさった先生だ。お元気そうだったのに。祖父母より一回りも若いのに。

司法試験受験団体の先輩でもあり、法科大学院の修了式後の謝恩会でお話したことがあった。最高裁判事という雲の上の存在でもあり、緊張する若者にもとても気さくに話しかけて下さった。あの一瞬は私には大切な思い出だ。

 

資本主義は冷たく、厳しい。

しかし、その冷酷さが、何気なくも至上の価値を有する一瞬を思い出させるきっかけになるのだ。

資本主義、万歳!

(所要時間1200秒)