湧亀記

2ストライク(1ファール)法務博士(専門職)のただの日記

アルバイターと「憲法ガール」

足の裏が痛い

けっきょく、3日間で33時間労働となった。

とくに、3日目は最悪で、クズみたいなDの隷下ADに割り当てられたばかりに、11時間立ちっぱなしで働いて、まともに休めたのは30分ぐらいだった。

あとで統括Dにさり気なくチクっといたら、統括Dは「あのD殴ってきていいよ」だって。暴行罪の教唆犯ですよ。規範意識の高い私はそんなことはしないので、不可罰ですが。つーか、統括Dもちゃんと監督してくれ。

しかし、クズDだった。人の名前は間違えるし、的外れの指示は平気でするし、すぐ怒鳴るし。女性スタッフにはヘラヘラしやがって。

つーか、同僚社員に嫌われてんのかよ笑

そういや、トランシーバーのやり取りでクソ適当に扱われてたもんな笑

ああいう風にはなりたくないものである。

まともに寝てないみたいだったからだろうか。

やはり人間睡眠時間がないとダメなようだ。

早くまっくろくろすけなこの業界から抜け出したいものだ。

時給は良いし、楽しいといえば楽しいのだけれども。

参加者は若い子ばっかりで、何故か私の魂を込めた注意事項の説明に拍手が起きた。「かわいい」との声も聞こえた。空耳か。

ちなみに、私は阿部寛とか要潤とか、内川聖一とか、木村拓哉石橋貴明を足して木村拓哉を引いた奴に似ているとか言われたりする。

守秘義務があるので多くは語れないが、参加者の一生の思い出になったイベントになったはずだ。三振法務博士も、そのような機会のお手伝いができたと思えば、クズDにあたったことも痛くも痒くもない。

足の裏は痛いのだが。

 

そんなブラックバイトな社会見学な期間も済み、法務博士としての戦場へ復帰。

憲法強化月間ということで、過去問起案と、自主ゼミ(勉強会)のための起案採点担当。書いているときは気付かないものに気付いたりするものだ。

憲法といえば、司法試験受験業界では「憲法ガール」なるラノベ風参考書が流行っている。装丁もイラストも「かわいい」ものであるし、妙にプライドが高くて性根の曲がった私はこの流行り物を敬遠していた。

しかし、来年の司法試験に背水の陣で望む以上(背水どころか喉まで漬かっているが)、プライドを捨てて読んでみた。

 

憲法ガール、甘く見ていた。

受験参考書として出来が良い。

登場人物、全員秀才ないし天才。

憲法ガール、17歳で司法試験合格の圧倒的天才...!

折りに来る...!三振法務博士の心を...!

 

設定上「かわいい」女の子らしい、憲法ガール。

わたしの大好きなストレートロングヘアーの憲法ガール。

わたしの◯◯◯◯ガールにしてやりたいと思いました(クズすぎる表現なので、表現の自由の保障範囲を逸脱すると判断し、自主規制しました)

 

法務博士と非正規長時間労働

日本の法制史に関わり、今も多くの法曹を送り出すという母校から、法務博士などという学位を頂戴したわけである。

これは、私にとって貴重な20代のうち数年間の時間を司法試験予備校的学術機関に捧げた代償であって、一種のアイデンティティである。

しかし、悲しいかな、法曹資格の取得を失敗し続けるいまの私にとっては全く意味をなさないものである。

終身名誉監督とかハイパーメディアクリエイターとかシニアディレクターとかそういう肩書きに類するような気がしてならない。

 

日本国憲法で廃止された貴族制度のように肩書きで金はもらえないわけで、法曹として、一線で活躍し始めた学友を尻目に、試験対策の合間に単発の労働で雀の涙を稼ぐ生活である。

けっきょく、5時に起きれた。

 

仕事内容は、イベントAD。

イベント運営は、部門毎ないし全体を、D、すなわち、ディレクターが監督する。

ADはその補助。

大きな現場では数人のDに10人くらいのADが付き、数十人のST(スタッフ)を管理し、運営を実施する。小さな現場ではDにSTが1人ないし数人の場合もある。

 

しがないアルバイトである私が任されるのは、よくて、ADか小さな現場のDである。

猿でもできるような単純作業しか任せてもらえない、STの現場を何度か経験して、ようやく、ぼつぼつD、ADのオファーがくるようになった。

けっきょく、直属の上司に振り回されることは変わらないのだが、そんな自分がSTを振り回すこともあり、胸が痛むことも多い。

咄嗟の機転、気配りができるか、正確な情報の処理、咄嗟の伝達能力、咄嗟の説得力といった事項が試されるわけで、ペーパーテストとは違う能力が必要である。もっとも、司法試験にも共通するような点もあるような気がしなくもない。咄嗟の機転で書いた論証で爆死することも多いものであるが。

 

そんな人間力のガチンコ勝負みたいな現場運営ではあるが、自分の力ではいかんともしがたいものも多々あるわけだ。

そのたびに無力感、敗北感を感じはするが、挫けてはならない。

負けるな私、頑張れ私。

たとえ、事前に聞いていた拘束時間が大幅に違ってもだ。

上層部のあきらかな事前の準備不足、人手不足で終了時間が伸びてもだ。

そもそも、目的達成しないと帰れないのだから、それは仕方がないことなのだ。

 

【事前情報の拘束時間】15時~19時、8時~18時、8時~18時

【現状の拘束時間】15時~22時、7時30分~22時30分、8時~???

 

きっつー

三振法務博士と非正規雇用

すごく労働法的な題名に思えなくもない。

でも労働法はよく知らない。選択科目は租税法だから。

司法試験(新司法試験)では労働法と倒産処理法が選択科目のメジャー科目である。

それ以外を選ぶ受験生は変人である(断定)。

司法試験受験をする人間の時点で十分、変人だという自覚はあるのだが。

 

浪人生活中も金はかかる。当然アルバイトせざるを得ない。

法律事務所でアルバイトするといったイメージを持たれることもあるだろうが、案外少ない。いなくもないが、メジャーというほどではないような気がする。

 

私が主に従事するのは、イベントのアルバイトである。

案件(スケジュール)を選べるのが大きい。そして、割に高時給だから。

 

立場的には、広告業界の最底辺、広告代理店の孫孫請けぐらいの会社に雇われる立場。

そして、様々な突発的事象に振り回されに振り回される。

 

立場上多くを語れなくて残念だ。

大抵は自己責任のものではない。

 

ポジションによるが、仕事をシェアすることも結構困難である。

表現力不足で恐縮だが、業界自体の構造問題としか思えない。

 

これを書いている最中に、私の雇主の社員からメールが来た。

午前1時30分ぐらいね。

一分も立たないうちに返信を返してやった。ふふふ。

 

18時に終わるはずの前日準備が22時まで延長、拘束され、23時30分帰宅。

先日形式だけ整えた起案を、添削をお願いしている先生に提出。

このあと5時起きで出発、終業時間は不明。

起きれるかも不明。

トランプショックと運命

米国大統領はトランプ氏に決まった。

今のところ、トランプショックにより、保有株式の株価を葬り去ってくれたぐらいの影響だ。ガビーン。

さっさと損切りすればよかったのにね。

長期投資目的に切り替えていくから、それでいいのだ。

 

株価を尻目に、平成25年公法系第2問のモデル答案の作成。

行訴法3条の「処分性」の論じ方は、固まりつつある。

問題は行政個別法規の解釈適用である。

これは法律処理能力の地の力に依るように思えてならない。

悲しいかな、私にはあまりセンスがないように思えてならない。

泣き言を言っていても仕方ないので、演習をこなして対応力を鍛えるとしよう。

解釈をぬかして、ぼやけた答案になることが多いので、そこを意識すること。

 

平成27年公法系第1問も、起案した。

司法試験界を揺るがしたあの漏洩事件(こっちは◯◯ショック)のこともあり、去年は感情的になって直視できなかった問題だ。

皮肉にも平等権からの出題。

 

試験に受かるかどうかはDNAに刻まれていると、法科大学院の恩師は言った。

運命的なトランプ氏の逆転劇からすると、あながち嘘ではないような気もしてきた。

いや、彼は平等に与えられたチャンスに勝ったのだ。それでいいのだ。

(所要時間1080秒)

 

 

資本主義とぐるぐる寿司

風邪はだいぶ良くなった。抗生物質、万歳!

たいていきな臭さそうなものは様子を見て炎上させる人生を送ってきた。

別れを決意してそうな彼女の様子とか、押し目買いしたはずの株式が暴落する様子とか、司法試験とか司法試験と司法試験とか…。

学力のない人間が、珍しく学習能力働かせてひきはじめに医者にかかったのが正解だった。いつも死にかけてから行くからね。医学の発展に、万歳!

 

おかげで湘南地方某市の祖父母の足になることができた。東名高速、万歳!

下道なら横浜からだと2時間弱だけど、1時間弱でつくからね。圏央道、万歳!

 

祖父母がいずれ入居するという空っぽのお墓の掃除とかね。

前回行ったときは「わたしはそこにいません~♫」とか陽気に歌ってた祖父。

神風特攻精神の教育を受けた世代だから仕方ないね。一億火の玉、万歳!

定期的にお寺に納めるお金に文句を言ってたけど、仕方がないよね。

資本主義、万歳!

 

帰りに回転寿司(スシローに行きかけたけど、くら寿司)で昼食。食べる寿司を物色。

回転寿司、最近は機会に恵まれなかったが、ガキの頃はよく連れて行ってもらったっけ。

そんな祖父母たちは、時代に連れて行ってはもらえなかった。

「おいゼニタロウ、醤油入れる皿、ねぇぞ」「じーちゃん、そんなもんはもうないんだ。コスト削減てやつだ」「そうか」

「ゼニちゃん、全然回ってこないわね」「ばーちゃん、液晶パネルで注文するんだ」「そうなの」

「しかし、ぐるぐる寿司は変わったもんだな」「そうだね」

「あっちのくら寿司も変わらないんだろうな」「こっちがくら寿司だよ」

「思っていたより安かったわ」

食え食えと私に寿司を促す祖父の食べる量は、以前に比べだいぶ減ってしまった。

資本主義がぐるぐる寿司に強いたコスト削減は、格安の寿司と、老人たちが時代に置き去りにされた姿、そして、衰えていく祖父という現実を私に見せつけた。

 

営利企業が発行する日刊新聞の訃報欄に知った先生の名前があった。最高裁の裁判官をなさった先生だ。お元気そうだったのに。祖父母より一回りも若いのに。

司法試験受験団体の先輩でもあり、法科大学院の修了式後の謝恩会でお話したことがあった。最高裁判事という雲の上の存在でもあり、緊張する若者にもとても気さくに話しかけて下さった。あの一瞬は私には大切な思い出だ。

 

資本主義は冷たく、厳しい。

しかし、その冷酷さが、何気なくも至上の価値を有する一瞬を思い出させるきっかけになるのだ。

資本主義、万歳!

(所要時間1200秒)

三振法務博士、日記をはじめる

突然だが、日記を付けようと思い立った。

それも、全世界に公開する形式で。

 

約10年ほど前、日本三大塾である河合塾で浪人中に、「浪人中に日記でも付け給え」と予備校講師に言われたことを思い出したからである。

それが約10年後の司法浪人中に遂行することになるとは、当時の亀ヶ浜少年も思いもしなかっただろう。司法試験発表を控えた、二ヶ月前の私も思わなかった。

ちなみに、日本三大塾とは「津田塾」「KO義塾」「河合塾」である。

 

「こんなことに時間を費やしてよいのか」という声が聞える。

「いい。」私は答える

「風邪だから」

 

朝一で近所の診療所にいった。同級生のカスミちゃんのパパの病院だ。

カスミちゃんパパ「亀ヶ浜くん、相変わらず頑張ってるね。ハハッ。勉強には睡眠時間とるのも大事だよ。記憶は寝る時に定着するからね。7時間くらい寝てね」私「らじゃ。頑張るよパパ」同じやり取りを二ヶ月前にした。私は風邪にかかりやすい。

薬局の待合室で民事訴訟法のテキスト、選定当事者の項目に目を通し判例六法で(民訴法30条)を確認する。受付パートの、少年野球時代の後輩の母君に「六法全書?」ときかれたので適当にあしらう。六法全書は商品名だ。ウォークマンiPodというようなものだ。

 

実家で夕飯を食べる。普段、勉強は大学でやるので、母とゆっくり話すのも珍しい。正月、祖父の家で、祖父と叔父と私で「歩兵の本領」を歌った話をした。県警の刑事であった祖父は「戦友」をよく口ずさむ。従軍経験もないのに。2歳半の叔父の孫、すなわち、わたしの従兄弟甥に軍歌を仕込む決意をした。母は吹奏楽部ガールであった70年代に「行進曲軍艦」「星条旗よ永遠なれ」を演奏させられたという。「抜刀隊は今も警察の行進曲として使われているらしい。西南戦争の西郷討伐の際に氏族上がりの警官が従軍したからだ。県警の機動隊員であった大叔父さんも抜刀隊でさぞ行進したことだろう」などとアカデミックな話を振っておいた。頭のなかで「正常位よ永遠なれ」というフレーズを思い浮かべながら。

最後に交際していた女性は、御三家女子校出身の人だった。

手も繋ぐこともなく、ふられてしまったのだが。

(所要時間900秒)